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卯都木悠人
おまえが居てくれて良かったと思う。
それは、生徒会長としてでもなく卯都木家としてでもない俺の言葉。
そこにどれほどの価値があるかはわからないが、伝えたいんだ。
レールの上で過ごさなければならなかった俺に、大切な物を教えてくれた人はいた。
それをいつのまにか見失っていたことに気付かせてくれたのは、おまえなんだ。
責務は果たさねばならない。だが、その前に俺も1人の人であること。
無力ながらも、大切な女性を守りたいと思う、1人の男であること。
おまえは、そんな大層なことはしていないと笑うだろう。
当たり前に恋をして、たまたまその相手が俺だった……それだけに過ぎないかもな。
だが、俺は違うんだ。
きっとおまえでなけば愛すると言うことを忘れたままだった。
卯都木のために適当な女性と結ばれ、決められたレールを歩いていた。
俺にとって、おまえは特別な人だ。生涯を共にしたいくらいに。
こんなことを言っても、おまえを困らせてしまうだろうか。
今はまだ、答えは保留にしておいてやる。
だが、進路選択の時期には俺を喜ばせてくれる回答を期待しているぞ?
2010-10-01
御子柴恭介
あの、さ。ちょっと言いたいことあって。
おまえに……ちゃんと聞いてほしいっつーか、改まって言うほどじゃないんだけどよ。
なんつーか、見た目こんなだけど俺も考えることは考えてるし。
別に、そのために勉強頑張ってるとか、そういうワケでもねーけど。
こ、こーいうのは、俺1人が思ってるよりも、ちゃんと言わなきゃなって言うか……。
だ、だからな!
おまえ……俺とずっと一緒にいる気、あるか?
今付き合ってる……って、そういうことじゃねぇ!
つか、3年の選択授業の相談とか、進路とかでもねーからなっ!!
……はぁ、かったりぃ。
なんで俺1人でこんな空まわってんだ。
こんなにポカンとした顔されたら、何も言えねーだろ。
別に、おまえが悪いワケじゃねぇよ。俺が少し焦りすぎたんだ。
気にすんなって。……少しは気にして欲しいけど。
ま、俺も準備出来てるわけじゃなかったしな。
もうちょっと形整えたらちゃんと言うよ。
だからそれまで、一緒に居ような。
2010-10-01
巳城タクミ
幸せって、なんだろねぇ?
昼までゆっくり寝たときも、学食のエビフライ定食を食べてるときも、確かに幸せだけどさ。
キミといると、どうして落ち着くんだろ。
オレとしては、キミには一緒にいるときドキドキしてほしいって思うけど。
もしかして、キミもまったり落ち着いちゃったりしてるの?
こーいうの、なんて言うのかな。
ドキドキしたり、駆け引きで手に入れようとするのが恋。
見返りなく尽くすのが愛……なんて話も聞いたことはあるけど。
尽くし尽くされとかそんなんじゃなくて、ただ隣にいてボーっとしてたいんだよね。
些細なことで幸せそうに笑うキミを、ずっと眺めていたい。
ただ、それだけ。
そりゃあ、じっとしてるのがつまらなくなって、ちょっかいかけたりはするけどさ。
オレ、基本的には無害じゃない? って、からかわれる方からすれば、そうでもないか。
ねぇ、キミはどんなときが幸せ?
いつでも幸せそうにしてるから、オレがいなくても幸せなのかな。
……そうだと言っても離さないけど。
だってさ、こーんなに好きになっちゃったんだから、離れられるわけないだろ?
2011-11-01
寅谷立夏
きみはさ、運命って信じる?
ボクがこの学校に入学して、きみが転校してきて。
それから、いーっぱい遊んだしイタズラもしちゃったけど……こうして一緒にいるのって、運命なのかな。
全部、決められていたら素敵だって、そういう人もいるよね。
でもボクは、ボクの意志できみを好きになったんだから、決められた運命なんてごめんだね。
……最初から全部決まってるだなんて、考えたくもないよ。
だってさ、この学校だったから良かったものの、他の学校だったら学校行事バラバラなんだよ!?
臨海学校とか修学旅行とか、学年ごとに行くらしいじゃん。
ボクときみが離ればなれになるなんてありえないよね!
ありえない、けど……ボクはどうすればいいのかな。
“いつか”なんて、卑怯な大人の口癖みたいな約束はしたくない。
だけど、“ずっと”なんて笑えるほど子供のままでいたくない。
きみから見れば、まだ頼りない子供だろうけど、彼女を幸せにしたいって思ってるんだから。
大好きなきみに、何ができるだろうって。
特別な言葉で飾らないで、正直に言えばいいのかもしれないね。
それでも、ボクは今のままがいいんだ。
きみだって、ボクが急に大人になったら困るでしょ?
だからさ、もう少しだけ待っててよね!
2011-11-01
酉水司
思いを素直に口にすることは、良いことだと思います。
けれど、相手を思いやる嘘があることもまた事実……あなたは、どちらが良いと思いますか?
その時々によって、最良の方法は変わってくるでしょう。
今、私が最良だと思った決断も、後々には間違っていたと気付かされるかもしれません。
ただ伝えるだけなら簡単なのです。
その後、相手がどのような気持ちになるか、どのような状況に立たされるのか。
それらを考えると、素直に口にすることは憚られます。
しかし、それは大人の良識で考えるからであって、正解とは言えません。
もしかしたら、自信のない自分を正当化する言い訳かもしれませんね。
探してもいない答えを見つけ出す前に、そう思い込んでしまっているのですから。
考える時間があるのなら行動する、それもまた一理だと思います。
今と言う時間は戻って来ないのですから、後悔のない道を進むのがいい。
結局どうしたいかは自分の中で答えが出ているのに、何も出来ない……私は無力だと痛感するばかりです。
素直に思いを口にすることが許されるのなら、たった一言でいい。
あなたに、伝えたい言葉があるのです。
でもそれは、もう少しだけ私の心にしまっておきましょう。
自分に自信が持てる、その日まで。
2011-11-20
相馬隆志
寒くなってきたときって、何食いたい?
肉まんに鯛焼き、コンポタにココア……どれも暖まるし美味いよな!
どれも美味いんだけどさ、1人で食うと味気ないんだよ。
別に、誰かと一緒じゃなきゃ食えないとか、そんな弱い男じゃないぞ?
やっぱこういうのはさ、寒い中公園とかで話ながら誰かと食べるのが美味しいと思うワケよ。
そりゃあ、ちょっとオシャレな喫茶店とか連れていければ格好つくんだろうけど……。
って、俺は別に恋愛相談してるんじゃないからな!?
だって、いつも忙しそうじゃん……誰とは言わないけどさ。
ちょっと目で追ってもさ、アイツを見てんのかなーってわかるくらい幸せそうに笑って。
そんなヤツ、誘えるわけないだろ。
それでもさ、俺のこと友達だって思ってくれてるなら嫌いになれねーじゃん。
彼氏と喧嘩したときに愚痴聞いたりとか、気晴らしに付き合ってやったりとか、俺にしか出来ないことだし。
……まぁ、下心が全く無いかって聞かれたらコメントは控えたい所だけど。
だから俺はさ、ソイツの特別になれてるならそれもいっかなーと思うワケ。
俺って大人だろ?
いつかさ、笑って話せるくらい大人になったら、思い出話の1つに言ってやろうかと思うけど……。
今は、このままでも結構幸せかもな。
2011-11-20
- end -
別館のときの拍手ログ。ずっと冬仕様のまま、夏を迎えるところだった……。
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浅野 悠希